UNIXの起源は、AT&Tのベル研で開発されたオペレーティングシステムである。ベル研の知的財産開放義務のため、元々オープンソースのOSであり、それを各ベンダが独自の技術・工夫を凝らして性能・機能を改善して市場に投入した。UNIXは、スーパーコンピュータに対するローエンド破壊(※クレイトン・クリステンセン「イノベーションのジレンマ」で言われている、“既存企業にとってそれほど魅力的でない下位顧客層を奪って成長する”イノベーションのこと)だと言われている。
UNIXサーバのメジャープレイヤとしては、Sun Microsystems (Sun), Hewlett-Packard (hp), IBMあたりが挙げられると思うが、今回はSunとhpの現状についてまとめる。
結論としては、この2社の主力商品(UNIXサーバ)はコモディティ化・あるいは成熟化している可能性が高い。本当は、サーバにも色々なレベルがあるので、細かく見て行けば、減少しているものと成長しているものがあると思うが、詳細なデータは手に入らなかったので、今回は大きな流れで見て行く。
●Sun Microsystems
業績の方は、4年度連続赤字である。今日の業績の原因としてアニュアルレポートで説明されているのは、
- 商品の値下がり
- ローエンド商品(エントリーレベルサーバ)への顧客需要のシフト
(グラフでは表示していないが)Sunの粗利は4割ぐらいある。この数字はIBMと比べても悪くない。問題は、販売管理費と研究開発費が粗利を上回る額だということだろう。あえて乱暴な言い方をすれば、マーケティングやR&Dの効率が悪い(つまり、お金を掛けている割に儲けに繋がっていない)と言えるかもしれない。
1982年創業のSunは、2001年に売上高がピークを迎え、2002年以降は減少傾向にある。ということは、単純に考えると、主力商品のライフサイクルが成熟期後半に入っている可能性がある。


(※データは同社の2005年度アニュアルレポートによる)
Sunの今後は、Solarisの次のヒット商品を出せるかどうかに掛かっているのではないか。
Javaは当初(今も?)Fat server/Thin clientのコンセプトを目指していた。サーバ側にプログラムを置き、
実行する。これを突き詰めると、クライアント側はJava
VMさえ動けば何でも良い。サーバ側は処理能力の高いSolarisを置いて、プログラムはJavaで書きましょう、サーバで実行させま
しょう、というのがSunの売りなのだと思う。世界中の全てのPCにWindowsを載せるというMicrosoftの野望(途中で無理と気づいて.NETに転換したが)はクレイジーだが、Microsoftに真正面からがっぷり四つに組んで勝負を挑むSunも、相当クレイジーである。
※「クレイジー」は誉め言葉です。「自分が世界を変えるんだ」と思えるぐらいクレイジーな人が世界を変える(The people who are crazy enough to think they can change the world, are the ones who do)というアップル宣言にちなんでます。
コンピューティングに対して、これだけのビジョンと遂行能力を持っている会社はあまりないと思う。しかし、Sunが何をどうやって儲けたいのか、Solarisの次のヒット商品がサーバOSであるべきなのかどうかは、まだ私にはよく分からない。
●Hewlett-Packard
hpについては以前も書いたことがある。hpのPCは、9割近くの製造工程はEMSへアウトソース、デザインにおいても1/4は台湾のEMSが手がけている等、かなりコモディティ化が進んでおり、hpとしての付加価値があまり発揮されていないので、当時から「この会社はこれからどうなるんだろうか?」と思っていた。
hpの業績を見ると、状況はかなりSunと似ている。大きな違いは、hpはプリンタ(というかカートリッジ?)は儲かっているということである。
改めてアニュアルレポートを読むと、PCやサーバ、プリンタ等で高い市場シェアを持っていることがアピールされている。しかしそれと同時に、厳しい価格競争に巻き込まれてマージンを失ったということが、繰り返し出てくる。これは、見方を変えると、hpの製品には付加価値がないということであろう。
製品自体がコモディティ化しても、DELLのように、受発注や組立・配送等のプロセス改善を付加価値にする会社もあるので、「製品がコモディティ化した会社は、即、付加価値を失う」とは言わない。実際、フィオリーナは、DEC/COMPAQを買収し、製品ラインを統合して更なる成長を目指していたのだろう。それは間違ってはいない。買収によって規模を拡大し、効率化によって収益を絞り出す経営戦略は、特に成熟した大企業にとっては「アリ」だろう。それより、むしろhpの業績の原因は、R&Dが「お荷物」化していることにある、というのが夫の指摘でもある。

(※データは2003年度、同社アニュアルレポートによる)
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