※このエントリは「ソフトバンク、ボーダフォン買収で幕が上がる120兆円情報通信産業の波乱の行方」に参加しての続きになります。
日本の携帯電話端末がなぜグローバルな競争には乗り遅れているのかについて、かなり前に自分のブログで書いたことがある。では、ソフトバンクの市場参入によって「箱庭」市場に変化は起きるのだろうか?ソフトバンクは今後、海外メーカーから安い端末を調達してコスト削減を仕掛けてくるのではないか?という質問が会場から投げかけられた。
このシナリオはありうる、と私個人は思った。もちろん、一気に日本市場全体がそうなるとは思わないし、「当然ソフトバンクは従来の付き合いのある
メーカーにも良い顔をするだろうが、その裏では少しずつ着々と海外メーカーの端末を買うのでは?」というパネリストの意見を支持したい。
以下は、気になったので調べた世界の携帯電話端末市場に関する情報とそれに基づく考察である。
世界の携帯電話市場に関するGartnerの調査によると、2005年の出荷台数は約8.2億台とされている。IDCの調査によると日本国内の出荷台数は約4,500万台とのことなので、日本は世界の携帯電話端末市場の5%を占めるに過ぎない(但し、これは台数ベースのシェアなので、単価の高そうな日本のシェアは金額ベースにすればもっと上がると思われる)
メーカー別で見ると、Panasonic, NEC, Sharpがほぼ横1直線(16-17%)Toshibaが12.5%とのことなので、トップ3社がそれぞれ700~750万台前後、Toshibaが550万台前後となる。
世界に目を向けて見ると、グローバルトップのNokiaは2億6,500万台(シェア32.5%)2位のMotorolaが1億4,500万台(17.7%)3位のSamsungは1億台強(12.7%)4位がLGで5,500万台(6.7%)となっている。日本勢はと言えば、辛うじてSony Ericssonが5位。5,200万台弱を売上げ、6.3%のシェアとなっている。
韓国の人口は日本のザックリ1/2なので、韓国市場全体のパイを2,300万台前後と想定し、Samsungが全体の2/3、LGが1/3のシェアを有すると仮定しても、Samsungが韓国国内で売れる台数は1,500万台、LGが770万台前後となる。つまり、Samsungが売る携帯電話の台数のうち85%は海外市場の可能性がある。
振り返って、日本メーカーの海外での実績はどうだろうか。とりあえずアメリカについて調べてみたら、ワイヤレスキャリアやBest Buy(大手家電量販店)のWebページに載っていた日本メーカーはSanyoだけだった。
日本の携帯電話は確かにすごいと思う。機能も豊富だしデザインは洗練されているし、カメラも液晶も性能が良い。製品としての完成度が高い。しかしグローバルな競争という観点からみれば、日本国内市場は「箱庭」化(あるいは「ガラパゴス諸島化」と言っても良い)しているため、コスト競争力に課題があると指摘されている(安藤晴彦・元橋一之「日本経済 競争力の構想」より)私自身、アメリカにいたときはSamsungの携帯を使っていた。スペックと値段で比較したらコストパフォーマンスが良かったからだ。
日本の消費者は非常に品質・ブランドに敏感で購買力が高いとよく言われる。外国と日本とではライフスタイルも違う。なので、国内と国外の需要の差が大きすぎて、海外市場で戦えないのは携帯電話端末だけの課題ではない。携帯電話は、通信の規格も含めたアーキテクチャー全体が高度に統合化されていて相互依存している。しかもキャリアごとにスペックが違う等、日本市場特有の背景があるので携帯電話端末のメーカーを責めるつもりはない。しかも、携帯電話キャリア3社の売上だけで、年間10兆円には届かないもののそれに迫る規模があることを考えると「日本国内だけでも十分じゃん」というのも分からないでもない。分からないでもないのだが、ただ、日本人として少し残念に思う。
…本当は、下位レイヤ(携帯電話端末)だけでなく上位レイヤ(コンテンツ、サービス)についてもまとめようと思ったが、あまり考えがスッキリまとまらない&既に頭一杯になったのでこの辺で。
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