業界内では半ば常識かもしれないが、自分の頭の整理のために書いておきます。
日本のIT業界のマクロな構図として、大手のプレイヤーはみんなコンピューターメーカー系列だという点が特徴として挙げられると思う(IBM、富士通、NEC、日立)。私の理解している範囲で、これまでの経緯をザックリとまとめると、
- ハードウェアに関しては、国策としてコンピューターメーカーの育成をしてきた。(そのため、元々産業規模の割にメーカー数が多かった)
- ソフトウェアに関しては、元々は、コンピューターメーカーが高価なハードウェアを買ってもらうために「オマケ」として提供するところから始まった。しかし、メーカーごとに独自のアーキテクチャーが存在したため、いったんユーザーを囲い込んでしまえば、その後の価格交渉はメーカーに有利だった。ゆえに、「最初は値引きで何としてでもユーザーを獲得し、その後の保守運用・サービスで儲ける」というビジネスモデルがしばらく続いた。(ハードウェア部門を持たないシステムインテグレーター、ソフトハウスは、メーカー毎に系列化・ヒエラルキーを形成)
- オープン・システム時代の到来により、ハードウェアの利益率が低下。会社規模を維持するために、メーカーはこれまで以上にソフトウェア事業に力を入れざるを得なくなったが、どこも同じ状況なのでみんながソフトウェア事業に殺到。しかも、以前よりメーカーを乗り換えるのが容易になったため、価格交渉におけるユーザーの立場が強くなり、オープン・システムの構築・運用の価格相場は低下した。
- しかし、過去の遺産があるため、採算の悪い事業があっても会社としては潰れない。プレイヤー数が減らないので価格は下げ止まらず、オープン・システム分野では過当競争が続いている
コンピューターメーカー系列以外のプレイヤーとしては、相当メジャー度は落ちるが、ユーザー企業系列のシステム・インテグレーターが存在する。(通信会社系、製鉄会社系、銀行系、商社系など)これは、親会社の業績を良く見せるため等の理由で、情報システム部門を子会社化したところにルーツがある。
いずれにせよ、アメリカと比較すると(※1)、「システム」を構築する要素のうち、ハードウェアとソフトウェアのビジネスとしての分化がそれほど進んでいない(同じ会社が提供している)のが、日本の特徴だと思う。
では、今後どうなるのが良いのだろうか。これについては、(むちゃくちゃ乱暴な仮説だが、)もうちょっと業界再編が進んだほうが良いのかもしれない、と個人的には思っている。採算の悪い会社が市場から撤退し(吸収合併)、業界全体の生産性が改善していかないと、立ち行かないのではないか。
今の日本のIT業界では、パッケージソフトウェアの占める割合が小さく、かなりの部分はカスタムメイドのソフトウェア・SI型が占めていると思うが、この中核たるPMがいない・足りない、と良く聞く。なりたがる人が少ないのだそうだ。そもそも、SE自体が3Kと言われる不人気職種だそうだが、大工(=SE)の世界で棟梁(=PM)が憧れの存在ではなくなっているというのは、かなり危機的な状況なのではないかと思う。
どうやって生産性を改善すれば良いのかについては、また次回以降に考えてみたい。
(※1)アメリカのソフトウェア業界のメジャープレイヤーについては、以前このブログで触れたことがある→ソフトウェア業界の現実(の一側面) アメリカで、ハードウェア・ソフトウェアを総合的に提供する会社がないわけではないが、メジャーなのはIBMとhpの2社ぐらいだ。
Sunは、上位に名前は出てるけど、提供しているソフトウェア・サービスは、基本的にOSやミドルウェア、導入サポートや教育等で、「所謂SI」や「所謂
コンサル」はあまり提供していないはず。
このエントリを書く際に、非常に共感した記事を幾つかリンクしておきます。
技術力のないSE
技術力のないSE(2)
オフショア開発
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